2009年07月15日

ある意味でエヴァみたいな名作「ウェブはバカと暇人のもの」



ある意味でエヴァみたい。
名作ではあるがネガティブで罪深き作品。
手段を選ばぬ名(迷)作、という意味で共通項があると思う。

(平成21年7月16日(木)10時41分追記、ver.1.03)


一面的理解を増幅させて脊椎反射で騒ぐバカ共(=ネットモブ)を
例を挙げてわかりやすく紹介、分析した名著。

但し、その「一面的理解を増幅させて〜」というのは
作者自身にも当てはまると言えよう。
本作はあくまで「正確な数が把握できていない一部のバカの話」だ。

これをネット全体の本質であると誤解されては甚だ迷惑である。

タイトルの付け方が悪く、最初から誤解を招く構造になっている。
「ネットは馬鹿と暇人のもの」という題名の付け方は釣りで、不適切。
「ネットで暴れる馬鹿と暇人」が最適ではなかろか。


それでも作品としては
つっこみ所のある味わい深さがあり、
「ばかめ、俺はこうだ」と述べられるこの本は
思索に最適な題材で、傑物の作といえるだろう。
いや、皮肉抜きでホントに。


ただこの本もまた、バカに利用されるのだなあ。
たぶん、レッテル貼りに利用されて
ネットユーザーの肩身を狭くする(立場を矮小化する)事に貢献するだろう。

テレビの情報を鵜呑みにする人、ネットの情報を鵜呑みにする人
どっちも一次ソースを調べようとしないという意味で、
ケツ掘られっぱなしのバカと言えるが
(俺も人のことは言えん、自戒含む)、
この本はテレビ側に軍配を上げて
勝利宣言のかわりにネット敗北宣言と称している。

そして、作者自身もそういうバカ共が扱うような過激なもので
商売してるんだってことを、自覚していないはずがない。
商売乙、と罵倒したくなる本だとも言える。

この本がベストセラーになっているというのは、
既存メディアに固執するひと達がよりどころにして、
その人達に売れているということなのだろう。
・・・世の中に与えるネガティブな影響を思うと背筋に寒い物が走るね。
生理的に嫌だ。
ネットもテレビも暇人の物というのは変わりないのであって、
一方的な主張に偏っているテレビよりネットの方がまだましだと考えてしまう俺がいる。


以前はてなブコメで
「既存メディアの対抗言論を作り出そうと思ったら、
流通をまず確保せねばならない。そう言う意味でネットは手法的に劣る」と
誰かが言っていたと思う。
そのブコメと同じくこの本はネットの弱点を啓蒙したとは言える。


この本は最初に
「頭のいい人の話はもういい。馬鹿の話をしようじゃないか」
と宣言しつつ、各所で逃げを打ち、妙にすがすがしい読後感を与える。
(中立な目で見よう、って締めくくりだからそうなるんだろうな)
騙されかけた。
いやここまで暇人だバカだと罵倒して何最後に逃げちゃってんの?と
まあ、一瞬でもそう思わせるってのは、流石したたかだわ、この作者。


ネットモブの一面を理解したいと思って読むなら、
笑い話だと思って気楽に読むのがオススメ。
それこそ「ハハハ、こやつめ」「あるあr・・・ねーよwww」「作者氏ね(藁」
ってなノリで。

一面理解の拡大解釈であることを念頭に置いて読むべき。
興味本位で読んで鵜呑みにすれば
それはこの本から何も学ばなかったということだ。


おまけ:この本への書評が元になった脱線話エントリ
「脱線、連想話」

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Posted by かた焼きそば  at 10:14 │Comments(0)おすすめ書籍紹介

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